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KINSKI  "Alpine Static"

KINSKI 
"Alpine Static"

HECY-1017 ¥2,310 (CD)
2005.08.24 Release

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Track listing:
01. Hot Stenographer 
02. The Wives of Artie Shaw
03. Hiding Drugs in the Temple (Part 2) 
04. The Party Which You Know Will Be Heavy 
05. Passed Out On Your Lawn 
06. All Your Kids Have Turned to Static 
07. The Snowy Parts of Scandinavia 
08. Edge Set 
09. Waka Nusa 
10. Journey to the Center of Milan (bonus track) 

「聴いてくれた人に何かしらの感情を感じてもらいたい。
(中略)エネルギッシュな類いのもの、あるいはメランコリックなフィーリング……他のどれよりもその2つの感情を」(クリス・マーティン)
 『アルぺイン・スタティック』。なんと素敵なタイトルだろう。敢えて日本語に言うなら『アルペンの空電』とでも言うべきか。因に「スタティック=空電」とは、「雷や雲間放電などによって大気中に生じる波長範囲が広い電磁波」とのことなのだが、現実世界を歪め、よじれさせるロックの電磁力、すなわち本作の性格を見事に捉えている言葉である。甘い悪夢にも似たメロディ、深く沈み込むようなヘヴィネス、静寂と喧噪のコントラストといった、音楽のひとつひとつの器官に強力なロックの力を充電することによって、触れれば感電死しそうな程のピリっとした空気感をキンスキーは本作の中に生み出している。そうした強烈な電磁力が奏でる活力とメランコリー程、美しいものはない。

 結成は偶然だった。クリス・マーティン(g)、ルーシー・アトキンス(b)が「アナログとデジタル・レコーディングのどちらが優れているか」という議論を地元シアトルのバーでしていたところ、バーテンダーのデイヴ・ウィークス(初代ドラマー、後にバレット・ウィルケにスイッチ)がその会話に割って入ってきたのがキンスキー結成のきっかけとなる。98年頃から3人でライヴ活動を行うようになったバンドは、99年にSpacemen3のカバーを含む1stアルバム『Space Launch for Frenchie』を発表。元々ライヴでの実験性も好むバンドは00年にマシュー・リード・シュワルツ(g、key)を加え、Mainlinerなどとのツアーを経験しながら新たな手触りを自らのサウンドの中に付け加えていく。その成果が2nd『Be Gentle With the Warm Turtle』(01年)という訳だが、一旦加速した創作欲はキンスキーを幹にした拡散を見せ、02年にはドラムレスの構成でHerzog(ニュージャーマン・シネマの牽引役、ヴェルナー・ヘルツォークのこと。キンスキーという名前もヘルツォーク作品と縁が深いクラウス・キンスキーから取っている)でのライヴ(その模様は04年に『Don't Climb on and Take the Holy Water』として発表)、クリスのソロ、Amobuzzのアルバム『This is my Ampbuzz』を結実させる。そんな寄り道はまたキンスキーの3rdにしてサブ・ポップからの一発目『エアーズ・アバーヴ・ユアー・ステイション』(03年)へと繋がり、その音楽からは、クラウトロックにも通じる覚醒と非覚醒の狭間の中に内省的なメロディの息吹と挑戦的なエクスペリメンタルの昂りの両方がこぼれ出す、正にオリジナルな世界を構築するまでに至っている。

 本作はサブ・ポップからの第2弾になるのだが、03年に発表されたAcid Mothers TempleとのスプリットCDと地続きになっている部分がある。本作収録の「パスト・アウト・オン・ユア・ローン」は、実のところ、スプリットCD収録の「Fell Asleep on Your Lawn」の再録なのだ。タイトルが意味していることは基本的に同じなのだが、今のバンドと録音環境で再構築していくことは、曲の発熱量を最大に引き出すことを意味している。そんな曲のアンビエントからのノイズへの相互作用は、暗号の洪水というよりも、無意識とか夢の手応えをしっかりと残している。
 ジャムの自然発生的な音に任せながらも、構造はしっかりと考えられている曲の数々はまた、キャラの異なる音符を立ち上げながら、時に脆さと、時に硬質な手触りを残していく。まるで水晶のイメージを彷佛とさせるその音楽は、人間だったら誰でも持っている活力とメランコリーという相反するものに対する憧れを具現化しているようだ。静かな場面であろうとも烈しい場面であろうとも、キンスキーの音楽はそっと聴く者の心の襞へと手を延ばしてくるのである。
(ライター/安部 薫)


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